LEVI’S VINTAGE CLOTHING 1947年モデル 501XX CONE DENIM WHITE OAK 12oz 10か月 洗濯前
501XX 1947年モデルについて
出典 : Rakuten Fashion
LEVI’S VINTAGE CLOTHING (通称LVC) より1947年モデルの501XX。1947年は第二次世界大戦終戦から数年が経ち、アメリカ国内がようやく元の姿に戻り始めた、活気を取り 戻した時期。そんな時期に作られたこの1947年モデルの501は“ジーンズの完成形"と呼ばれています。この1947年のモデルから現代に至るまで、501のスタイルというのはほとんど変化していません。それが、“ジーンズの完成形"と呼ばれる所以です。
1947年製のヴィンテージオリジナルのデッドストックの501XX なんて言ったら、現在では 800万円くらいするのではないでしょうか。下手すると4ケタ万円 なんてことも本当にあり得ます。そもそも現存しているのかさえわからないような状態ですし、存在していたとしても市場に売りに出されるとも限りません。奇跡的に売りに出されていたとしても、私のような一般庶民にはとても買えるような代物ではありません。ですが、このLVCの本家復刻品は、1947年製の501XXをデッドストックから穿いている気分を数万円で味わえると考えると非常にリーズナブルでありがたいと思います。
このジーンズは2018年10月、コーンミルズホワイトオーク工場閉鎖に伴う商品入れ替えのためのセールで定価の40%OFFほどで楽天市場で手に入れたものです。安かったので1本くらいストックしておくかと軽い気持ちで購入したものの、届いてみると想像以上に出来栄えが素晴らしく、到着後そのまま洗って穿き込みを開始しました。
1年間洗わずに穿くという目標を立てて、ファブリーズをかけながら洗わずに穿き続けていましたが、ちょうど10か月のところで、どれだけファブリーズをかけても嫌なにおいが消えなくなってしまったため、1年間洗わずに穿くという目標を断念して洗濯しました。以下はそのときの洗濯前の写真です。着用10か月後 (洗濯前) の写真をどうぞ。また、この1947年モデルは、細部のデザイン、ディテールにまつわる蘊蓄が沢山ありますので、そちらも併せてお楽しみください。

47501-0224 LEVI’S VINTAGE CLOTHING リジッド 501XX 1947年モデル
洗濯前の全体の色落ち(正面)

2018年10月末から穿き込み開始し、穿き込み10か月です。現状、洗濯回数が糊落としの1回のみですので、まだまだ全体的に色が濃い状態です。10か月間穿かなかった日は1日もなく、毎日欠かさず穿きました。1日に穿いている時間は、通勤の往復約2時間と、仕事終わりに遊びに出かけてそこから帰宅して寝るまでで、全部合わせると大体1日あたり平均8~9時間程度かと思います。仕事中は穿いていませんでした。
ちなみにファーストウォッシュは、バケツに40℃前後のお湯を張り、そこへ1時間程度つけ置いてからドラム型洗濯機で洗剤なしの水洗い後、コインランドリーのガス乾燥機で50分乾燥、という手順を踏んだと記憶しています。2017年に閉鎖してしまった、アメリカはノースカロライナ州、コーンデニム社(旧コーンミルズ社)のホワイトオーク工場のヴィンテージ織機 “Draper X-3" で織られたセルビッジデニムを使用して、アメリカ国内で製造 (MADE IN USA) されています。生地はシルキーでなめらかで穿き心地が良いですが、見た目はタテ糸にランダムなムラがあり、深みのある黒っぽいインディゴと相まって非常に無骨な印象を受けます。
形は股上がやや深めでクラシカルな雰囲気ですが、全体としてはやや細めのシルエットで、膝から下は絞り (テーパー) があまり入らずストンと落ちるようなストレートシルエット。無骨でかっこいいシルエットです。
洗濯前の正面のアップ

ヒゲのシワが定着しはじめて、そこから徐々に色落ちが始まっています。左前ポケットにはスマホを入れていたので、頻繁なスマホの出し入れによってポケット入り口付近が白く色落ちしています。
ジーンズの完成形と呼ばれるだけあって、前にポケット2つ + 右前ポケットの上部に小さなポケット1つ、の形は現在のジーンズと変わりません。右前ポケットの上部の小さなポケットは、もともとは懐中時計を入れるためのポケットだったようで、ウォッチポケットと呼ばれていました。懐中時計を持つ人も少なくなり現在ではコインポケットとも呼ばれるようになります。
洗濯前の全体の色落ち(背面)

背面です。右のバックポケットにはホワイトハウスコックスの二つ折り財布、左のバックポケットには同じくホワイトハウスコックスのパスケース
を入れていましたので、その形に色が落ちてきています。
よく見ると右のバックポケットも、左のバックポケットも小さな穴が開いてしまっています。また、ファーストウォッシュで想定していたよりも縮まなかったことと、洗濯しないことで起きるウエストの穿き伸びによるずり下がりの2つの要因により、裾を引きずってしまい、ロールアップの折り目部分に穴が開いてしまいました。
洗濯前の背面の色落ちアップ

左右のバックポケットの中央に入るカモメ型の飾りステッチを、通称アーキュエットステッチと呼びます。このアーキュエットステッチは、もともとは飾りではなく、バックポケットの内側に張り付ける補強布を縫い付けるための縫製でしたが、バックポケット内部の補強布がなくなった後も、このカモメ型のアーキュエットステッチはデザインとして残っており、リーバイスのトレードマークにもなっています。
第二次世界大戦中は物資統制のため糸が必要最低限しか使えず、このアーキュエイトは糸で縫製される代わりにペンキで描かれていましたが、第二次世界大戦が終戦し物資統制が解かれると、糸の縫製によるアーキュエットが復活。戦前は1本針のミシンで上と下に1本ずつカモメを平行に縫ってアーキュエットにしていましたが、戦後になると2本針のミシンで一度で縫われるようになりました。また、2本針のミシンで縫うことによって、中央で下から上に向かって針を折り返すときにできる糸の交差のことをダイヤモンドポイントと呼び、このデザインも現在に至るまで受け継がれています。
また、こちらの1947年モデルは、アーキュエイトステッチにこの年代のヴィンテージに見られるバナナイエローと呼ばれる黄色の糸を使用していたり、アーキュエットステッチの角度も、この年代に見られる深めの角度を完全再現しています。
隠しリベットのアタリ

バックポケットの上部両端は、隠しリベットによって穴が開いてしまっています。
1940年代の501は、バックポケットを内側からリベットで留めて補強する手法が採用されています。これを通称 “隠しリベット"と言います。1930年代後半くらいまでは、むき出しのリベットでバックポケットが補強されていましたが、むき出しのリベットが家具や乗馬用の鞍 (当時、丈夫なデニム生地で作られたジーンズはカウボーイの愛用品でした) を傷つけるという理由から、リベットを生地の内側にしまいこむ"隠しリベット"の手法がとられるようになりました。
この年代はまだ縫製糸が綿100%でできていましたので、糸自体の堅牢度が低く、バックポケットの取り付けをリベットで補強する必要がありました。現代のジーンズにおいては、縫製に堅牢度の高いポリエステルの糸が使用されていますので、このようにリベットでポケットの取り付けを補強する必要がありません。ですが、この LVCの501XX 1947年モデルは、そんな非効率的な昔の製法を完全に再現しています。この穴は、そんな昔の製法だからこそ味わえる粋なダメージです。
Big"E" 片面赤タブ

右バックポケットに付く “赤タブ" と呼ばれる、社名入りの小さなタグ。当時、ジーンズを製造していたのはリーバイス社だけではなかったため、リーバイスのジーンズだと一目でわかるようにするために、右のバックポケットに赤いタグをつけるようになったのが始まりと言われています。
写真には写っていませんが、1940年代の赤タブは、表側の見える面にのみ社名が刺繍されていて、裏側の隠れて見えない部分にはなにも刺繍がされていない片面刺繍で、これは “片面タブ" と呼ばれています。のちに社名の刺繍が両面に施されるようになり、片面タブと区別するため、両面に社名の刺繍が入ったものは “両面タブ" と呼ばれています。
また、1970年代前半頃まではこの赤タブに刺繍される社名が大文字の “LEVI’S" だったことと、1970年代中頃から赤タブに刺繍される社名が “Levi’s" と、社名の e 以降の文字が小文字に変化したことで、それと区別するために、赤タブに刺繍される社名が大文字のものは通称 “BigE (ビッグイー)" と呼ばれています。他方で、小文字のものを “スモールe" と呼びます。
ですので、こちらの1947年モデルは、片面タブのBig"E"です。また、この年代の赤タブの素材はレーヨン100%で織られていて、洗濯をするとレーヨンがよれてタブがくるんと丸まってしまうのですが、この復刻版の赤タブは洗濯してもピンピンしています。こちらの赤タブはレーヨン製ではなく、ポリエステルなどでできているのかもしれません。
革パッチ

腰のあたりにつく革のラベルです。1950年中頃から、革製のラベルは洗濯で劣化して破れてしまうため、ラベルの材質が紙に変わり、それと区別するために、レザーでできたラベルがついたものを “革パッチ" と呼びます。紙でできたラベルがついたものは “紙パッチ" と呼ばれます。この革パッチには、ロットナンバー (型番) と、サイズが印字されています。W は Waist (ウエスト) の頭文字で、L は Length (レングス) の頭文字です。リーバイスの501はアメリカの製品ですので、サイズの表記はインチ表記です。画像のものですと、ウエストが30インチで、レングス (股下) が34インチということです。この表記は現代の501にも変わらず受け継がれています。
また、ロットナンバーの501の後ろに付いている “XX" の表記は、“Extra Exceed" の略で、デニム生地が優れている (厚くて丈夫である) ということを意味しています。“XX" はダブルエックスと読みます。1960年代の後半になると、リーバイス社の使用しているデニム生地の品質の高さが一般に認知されたと判断し、この “XX" の表記はパッチから消えます。
革パッチにプリントされた、2頭の馬がジーンズを引っ張り合う意匠は、"ツーホースマーク" と呼ばれ、リーバイス社のジーンズが馬2頭で引っ張っても破れないくらい丈夫である様を比喩的に表しています。このデザインは現在でも変わらず使用されており、このツーホースマークも、アーキュエットステッチ同様、リーバイス社のトレードマークとしても広く認知されています。
ツーホースマークの下部にある “Every Garment Guaranteed" の印字は、日本語訳すると “すべての衣類の品質を保証" という意味で、今で言う保証書のようなものだと思われます。嘘か誠か、リーバイス社はこの “Every Garment Guaranteed" がパッチに印字されていた時期に、"ジーンズに穴が開いたら新品と交換" というサービスを行っていたそうです。60年代の始め頃に、この “Every Garment Guaranteed" の印字はパッチから消えます。日本では、"Every Garment Guaranteed" の印字があるものを、(Guaranteed の日本語読みから取って) “ギャラ入り"、印字がないものを “ギャラなし" と呼んで区別します。
これらのことから、当時のリーバイス社が自社の製品の品質に対して絶対の自信を持っていたことが伺えます。
膝裏

膝裏はこんな感じで、シワが定着して、“ハチノス"と呼ばれるハニカム状の色落ちがいい感じに出始めています。ハチノスを出すためには、とにかく洗わないことが大事だと言われています。
洗濯することによって、シワがリセットされるので、洗濯後にこのハチノスのシワがズレないかが少し心配なところです。
内ポケットのスレーキ

左前ポケットの内袋 (スレーキ) です。“LEVI’S VINTAGE CLOTHING" のロゴスタンプ入り。
このスレーキも、1947年当時の仕様を再現しているようで、コットン100% の生地から作られているようです。コットン100% の生地ですので、穿いたときにこのスレーキが太ももに触れても、非常になめらかでストレスを感じません。このように見えない部分にも LEVI’S VINTAGE CLOTHING のこだわりを感じます。
左前ポケットにスマホケースに入れてない状態の iPhone5s を入れて、なおかつかなり頻繁に出し入れしていたため、スレーキには穴が開いてしまいました。
まとめ
LEVI’S VINTAGE CLOTHING 1947年モデル 501XX の洗濯前レポートでした。パーツなどの細部を見ていくと、かなりこだわって作られていることが伺え、この1947年モデル 501XX はヴィンテージのディテールを忠実に再現していることがわかります。
新品購入からファーストウォッシュを経て、洗わずに10か月毎日欠かさず穿き込んで、セカンドウォッシュ前の状態をレポートしましたが、蘊蓄でずいぶんと長くなってしまったため、洗濯後のレポートを次回に分けてお伝えします。
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